【エクステリア】
ホイールベースが340mmも延長され、延長分がまるまる上屋の長さに転嫁されたスクエアなフォルムも相まってかなり大きく見える。当初は、ジムニー/シエラのロングノーズ・ショートデッキ、典型的なFRプロポーションが失われたようにも見えあまり魅力を感じなかったが、見慣れると堂々とした印象を受け悪くない。しっかりと長く、かつ間伸び感もない。3ドアと比較するとかなり小さなクォーターガラスにはやや違和感を覚えるが、これもデパーチャーアングルを担保するためというクロカン車らしい理由があると思うと納得がいく。また、フロントグリルはメッキ+塗装処理がなされ豪華な顔に。ドアの枚数が増えた分、より
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商用車チックな外見になったともいえるノマドに普通車の華やかさ、またジムニーシリーズ最上位モデルとしての風格を添える。
【インテリア】
軽ベースの車で内張の質感云々の話をするのは筋違いである。むしろクロカン車で下手にシミ・擦り傷がつきやすい軟弱なソフトパッドを採用していたら余計な心配要素が増える。
ハードプラは確かに安っぽいが、トヨタ車のドア内張で多用されている、爪等で簡単に引っ掻き傷がついてしまうマテリアルではないので問題はないと感じている。アクセルペダルがブレーキ・クラッチに対してやたらと離れている+段差がついており違和感があるが、おとなしめなブレーキフィールもあってか慣れればヒール&トーも問題なく行える。
最大のトピックである後席だが、開口部が狭くやや乗降性が悪いことを除けば、ほぼ文句はない。前席と比べてかなりアップライトに配置されており、またリヤウインドウも大きいため見晴らしがよく、(ボディの幅はあくまで軽であるため)2人掛けとなっていることもあり窮屈な感じもない。座面の前後の長さがやや不足しているような気もするが致命的なレベルではない。
このクルマのインテリアにおける最大の問題点は、ドリンクホルダーの少なさだろう。3ドア車と同じく、センターコンソールの2口のみとなっており、ドア部分にはない。また、センターコンソール部に運転者用リヤパワーウインドウスイッチが追加された影響でドリンクホルダーの位置が後退しており、後ろを振り向かねば飲み物が視界に入らないため、信号待ちにサッと飲みたい時等は非常に煩わしい。3ドア車における後席はあくまで非常用のような位置付けであるため2口でもよかったかもしれないが、ふつうに4名乗車で使用されることが想定されるはずのノマドがこれでは不甲斐ない。
【エンジン性能】
クロカン車で(恐らく)重めのフライホイールを使っている割には回転上がり/落ち込み共に早め。以前乗っていた初期型のJB23と比べるとそのレスポンスの良さに驚かされる。
今時、消音対策や燃費向上のための電子メカが満載されているそれとは思えないほど自然な音。'90sの非力なコンパクトカーをぶん回して乗った時のような快感がある。 またアイドリングは非常に静か。信号待ちなど、前後に車がいると自車の音を聞き取ることができない。ラダーフレームが打ち消しているのか将又今時の車のエンジンマウントの出来がいいのか、アイドリング時の振動も非常に少ない。
「軽とほぼ同じ車体に1.5L」と聞くとその動力性能に期待してしまうが、所詮は実用のテンゴで全く速くない。2500回転より下のトルクがないので、スピードが乗っていても上り坂は3速、けたたましいエンジン音をあげて頑張る必要がある。ただギヤを下げてぶん回せば車らしい加速はする。愉しい。
【走行性能】
前後3リンクリジッド+見るからに重心が高いことから、お察しという感じ。ただハンドリングはFRらしく自然。直進安定性はシエラよりも圧倒的に良い。ブレーキはバイト感に欠けるがコントロール性がよく、効きも悪くはない。ミッションは非常に滑らかなフィーリング。シフタースプリングが硬すぎるのか、N位置に戻る力が強くやや安っぽい点以外は素晴らしい。ギヤ比は軽ジムニーと比べると明らかに高く長距離走行を頻繁に行うならば断然コッチ。余談だが、油圧クラッチとこのクラスにしては贅沢な方式を採用しており長距離を走っても疲れにくい。ただしワイヤー式と比べてミートポイントが掴みにくいがこれはすぐに慣れる。ボールナット式のステアリングは現代のクルマとしてはかなり重い。また、ギヤ比はおそらくシエラと共通のまま、ホイールベースのみが伸びているため全体的にダルな印象だが、それが落ち着いた印象を醸し出している。しっかり姿勢を作ってやれば高速でコーナーに進入しても意外と破綻しない。
4型までのジムニー/シエラに採用されていたデュアルセンサーブレーキサポートではなく、1型のノマドはデュアルカメラブレーキサポートIIを搭載するがオートハイビームと車線逸脱警報は優秀。また、安易に自動ブレーキの警報を鳴らさなくなっているあたりに時代の進歩を感じる。先行車発進お知らせ機能も便利。
悪路性能は試したことがないが、以前乗っていた3型のシエラよりもトランスファーの入りは良くなっている気がする。
【乗り心地】
リジッド式らしく横揺れは強いが、ホイールベースの延長や足回りのリセッティングが功を奏したか、全体的にかなりマイルドになっている。
シートは座り心地自体は悪くないものの、クッションが薄いようで2~3時間連続で乗ると腰や尻が痛む。
【燃費】
夜間・長距離と好条件での使用がメインなのでジムニーにしてはそこそこいい値が出る。基本的に平均燃費は14.0km/L以上で推移するが、きつめの峠道をひたすら登ったり観光地で大渋滞に出くわしたりすると13km/Lを切ることもしばしば。
【価格】
コミコミで290万円。ただしなんやかんや鬼リセールなので強い。
【総評】
アンダーパワーな直4NAをラダーフレーム上に縦置きしたパートタイム4WDをMTで操り、しかも前後車軸懸架という古典的な構成、そして大人が4人しっかり乗れる。クルマってこういうもんだと思わせてくれる。